長い間沈黙していた、
コロナウィルスが、
ここタイで再び活発になっています。
思い返せば、
昨年の2月、
中国本土以外で世界で初めて新型肺炎が報告されたのは、
ここタイでした。
タイは、
中国人にとって最も人気の観光地で、
陸路でも来れる場所でもあり、
新型肺炎がいち早く伝わったのも頷けるところです。
しかし、
政府のコロナ対策は迅速で、
国内感染が広まるのを防いできました。
エイズが身近な国ですので、
感染症の恐ろしさを国民が知っており、
ソーシャルディスタンスの理解も早かったように感じます。
そういえば、
エイズの薬を組み合わせて使うと効果があるという報道が出たのも、
ここタイからでした。
また、
タイは民主化が遅れていて、
半分軍政が続いていますので、
政府が大胆な政策を取りやすいということも功を奏してきました。
患者数には見合わない、
厳しい緊急事態宣言が出され、
多少の緩和はあったものの、
緊急事態宣言自体は、
昨年3月からずっと続いています。
その甲斐もあって、
新規の患者はゼロ、
報告があっても、
それは海外から帰国してきたタイ人か外国人、
という日が続き、
国内感染はほぼない状態でした。
タイは、
アジア有数の観光立国であるにも関わらず、
ほぼ鎖国同然の厳しい規制を続けていましたので、
緊急事態宣言が解除されないのは、
反政府活動を妨害するためだ、
などと噂されていたほどです。
しかし、
12月19日(土)、
沈黙は突然に破られます。
これまでほぼ1ケタだった、
新規の感染者数が、
なんと、1日で576人と報道されました。
しかも、
それはバンコクのすぐ隣りの県の、
有名なエビ市場での集団感染でした。
そして、
21日(月)にはさらにその数は増え、
809人と報道されました。
さらに、
集団感染があった、
サムットサコーン県のエビ市場や生鮮市場を訪れた後に陽性となった人が、
バンコク、ナコンパトム、サムットプラカーンで報告されたと報道され、
既に感染が広い範囲に進んでいる可能性があることに、
タイ国民はびっくりしている状況です。
市民を心配させたのは、
エビ市場の集団感染で陽性反応が出た人の9割強が、
出稼ぎ労働者のミャンマー人だったことです。
ミャンマー人は、
タイの社会に溶け込んでいて、
とても身近な存在です。
キツくて汚い肉体労働、
賃金の安い単純労働は、
ミャンマー人
(またはカンボジア人、ラオス人)
の仕事というのが、
こちらの常識、
というところがあります。
お金持ちが住む高級コンドミニアムも、
ミャンマー人労働者が建て、
自動車部品の工場もミャンマー人、
レストランの厨房もミャンマー人、
タイ名産のエビなどの養殖場も、
バナナやココナツの農場も、
80%以上はミャンマー人などの外国人労働者で成り立っていて、
正規の労働者は150万人、
不法労働者は300万人に上ると言われています。
私の住むエリアも、
普通にコンビニなどでミャンマー人を見かけますし、
市場の売り子さんや、
私の仕事場の掃除のおばさんもミャンマー人です。
ミャンマー本国で、
コロナウィルスな感染者が爆発的に増え始めた9月頃から、
一部の人達は、
違法に国境を超えて来るミャンマー人を介して、
コロナがタイでも広がるのではないか、
と心配していました。
タイとミャンマーは陸続きで、
国境線は5000km以上もあり、
とても全てを監視できる状況ではありません。
そしてついに、
タイに住むミャンマー人の中で、
感染が広まっていることが明るみに出ました。
さて、
これから、
どうなるのでしょうか?
コロナ対策の優等生と言われたタイでも、
日本などと同じように、
一気に広まっていくのでしょうか?
こちらでも再び、
規制が強化され、
夜9時以降の飲食の提供が禁止されました。
学校も1月いっぱいは休校、
店舗の入店前のウエブ登録または電話番号記入も、
強調されるようになり、
昨年3月から4月の規制の厳しかった頃を思い起こされます。
ここでなんとか、
食い止められると良いのですが。。。
街には、
やや自粛疲れの雰囲気もあり、
マイペンライ(気にしない)気質の、
タイ人の本気度合いが、
今一度試されています。